不動産は業者とユーザーの情報非対称性が大きいジャンルといわれます。つまり情報を不動産業者が独占し、一般ユーザーはなかなか太刀打ちできない……。という問題があります。
不動産一括査定を利用した場合も、複数の査定が出てくるのはいいのですが「ではどの査定額が正しいのか?」という正解がわかりません。
そこで、この記事では、自分で不動産価格を査定してみる方法を紹介します。おすすめは最初に掲載してるAIを利用する方法。無料版のChatGPTでも、ある程度実用的な査定が可能です。
ChatGPTで不動産価格査定を出す方法
最近のAIの進歩はめざましく、ChatGPTでも大まかな金額をつかむ程度の価格査定ならできてしまいます。以下のフォームに「査定したい不動産」のデータを記入。その後、SUUMOやLIFULL HOME’Sで、査定したい物件に「類似した物件」の売出情報を探し、そのURLを3つリストアップ(以下のフォームにコピー)。あとは、「プロンプトを作成する」ボタンを押し、プロンプトが表示されたら「コピーする」ボタンを押すだけです。
コピーで来たら、ChatGPTのプロンプト入力欄に張り付けて実行すると、概算の査定額を出してくれます。
物件情報を入力すると、AIにそのまま貼り付けて使える「不動産査定依頼プロンプト」を作成できます。
これは正式な不動産鑑定ではなく、売却前の相場感を整理するための入力補助ツールです。
近いエリア・似た築年数・似た広さの物件を選ぶと、AIが比較しやすくなります。空欄でも作成できます。
※AIがURL先を確認できない環境では、URLは未確認として扱われます。その場合は、入力された物件情報をもとに暫定分析します。
相続税路線価を活用する
昔は分厚い路線価図の本を開いて、探している土地の前面道路の路線価を探したものですが、現在はネットで見ることができます。
国税庁が公開するサイト「財産評価基準書 路線数・評価倍率表」は、けっこう使いやすいので利用してみてください。まずはこのサイトで、ご自分の不動産(土地)の価格をざっくり把握するとよいでしょう。誤差はありますが、目安としては簡単に調べられて役に立ちます。
では、僕の実家のある大阪府堺市某所の土地を評価してみましょう。

図の「73D」とか「76D」と書いてある数字をチェックします。自宅前(ご自分の土地の前)の道路の数字を読んでみてください。この数字は千円単位なので、たとえば「76D」であれば、平米単価76,000円ということになります。後ろに付いているDとかCとかのアルファベットは借地権割合を表すので、とりあえず気にしないでOKです。
一般に相続税路線価は実勢価格の8割くらいといわれていますので、76,000円を0.8で割り戻します。
76,000円 ÷ 0.8 = 95,000円
上記から、95,000円が実勢価格に近い数字と考えられます(エリアによって当たってたり、オオハズレだったりしますが)。さてこの平米単価95,000円を坪単価にするには、3.30578を掛ければOKです。
95,000円 × 3.30578 = 314,049.1円
というわけで、この図の中の「76D」と書いてある道路沿いの土地は、だいたい坪単価314,000円くらいということになります。
答え合わせをしてみましょう
今回の答え合わせには、不動産情報サイトのアットホーム(athome)を利用しました。大阪府堺市南区城山台の土地は5件売り出されています(2019年12月12日現在)。坪単価を見ていくと、約28万円から約39万円の間で並んでいます。
どうやらビンゴと考えてよさそうです。ここでは路線価図の評価を信じて、ウチの実家の土地は坪単価314,000円くらいと判断しておきます。面積はたしか70坪くらいだったので、評価額としては2,200万円くらいかなーということがわかります。
建物がある場合は、これに上物の評価を乗せればよいわけですね。この件については後述します。
土地総合情報システム
オフィシャルサイトの中に、もうひとつ使えるデータベースがあります。それは国土交通省の土地総合情報システム。このサイトはバラツキがあるので、これだけを参照するのではなく、路線価で確認したご自分の土地評価を補強する意味で使ってみてください。
さっそくアクセスして、大阪府堺市南区のデータを一覧表示します。操作方法は簡単です。トップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックし、出てきた画面の左サイドメニューを利用して、①の「時期を選ぶ」は最新の四半期から過去2年分を含むデータを選択、②の種類は必要に応じてでかまいませんが、とりあえず「土地」で。「宅地」をチェックすると「土地+建物」まで検索されてしまうので注意してください。③の地域を選ぶについて、ここでは「大阪府」の「堺市南区」を指定しました。
65件ヒットしましたが、駅名(ここでは「光明池」)をクリックすると、さらにその駅周辺に絞ることができます。ここまでで29件に絞り込めましたので、細かく見ていきましょう。
データを坪単価でソートし、「前面道路無」とか「市街化調整区域」などを除外して見ていくと、ちゃんとした宅地の坪単価は最低でも20万円~のようです。坪単価51万円という妙に高い物件もありますが、そこは除外してしまいましょう。ボリュームゾーンは坪単価30万円台です。「堺市南区赤坂台」に多く集中しています。これは実家のすぐ近くのエリアなので、実家のまわりもこれに準ずると考えてよさそうです。
さてこの国土交通省土地総合情報システムは、何を元にしたデータベースでしょうか? 実は土地建物を売買したら「いくらで取引しましたか?」的なアンケートが届きますが、あれを集計しているようです。なので、自己申告ではありますが、実勢価格を集積したデータベース。実勢価格だけに、特殊な取引があればそれに引っ張られた数字になるわけですが(たとえば裁判所の競売物件なども含まれています)、正常な取引だけをピックアップして見ていくようにすれば、十分に参考になるデータベースです。
建物も評価してみよう

さて、ここまでで土地価格が(ざっくりですが)計算できました。もし一戸建て住宅なら、あとはこの上に立っている建物の価格をプラスするだけです。ただし建物の査定はけっこう複雑なので、ここでは超簡単な方法を採用します。国税庁さんのいうとおりで、やってみましょう。
この後詳しい算定方法を解説しますが、取り急ぎ「超概算でいくらくらいか知りたい」という場合は以下のフォームを試してみてください。
木造建物超概算価格計算
床面積:(数字のみ入力可能)
再調達価格: 万円
建築年月: 年
建物価格: 万円(概算)
耐用年数を22年としており全体に価格が低めに出ます。再調達原価の計算も簡略化しているので、築浅物件で誤差が大きくなり、本来より低価格に出がちです。
この後、より詳細な査定額の出し方を解説します。
建物の標準的な建築価額表
まず最初に1㎡あたりの工事費を調べます。下の表(単位は1000円)でその建物が建築された年の単価を探します。
| 建築年 | 木 造 | RC | 鉄骨 |
| 昭和46年 | 31.2 | 47.2 | 30.3 |
| 47年 | 34.2 | 50.2 | 32.4 |
| 48年 | 45.3 | 64.3 | 42.2 |
| 49年 | 61.8 | 90.1 | 55.7 |
| 50年 | 67.7 | 97.4 | 60.5 |
| 51年 | 70.3 | 98.2 | 62.1 |
| 52年 | 74.1 | 102 | 65.3 |
| 53年 | 77.9 | 105.9 | 70.1 |
| 54年 | 82.5 | 114.3 | 75.4 |
| 55年 | 92.5 | 129.7 | 84.1 |
| 56年 | 98.3 | 138.7 | 91.7 |
| 57年 | 101.3 | 143 | 93.9 |
| 58年 | 102.2 | 143.8 | 94.3 |
| 59年 | 102.8 | 141.7 | 95.3 |
| 60年 | 104.2 | 144.5 | 96.9 |
| 61年 | 106.2 | 149.5 | 102.6 |
| 62年 | 110 | 156.6 | 108.4 |
| 63年 | 116.5 | 175 | 117.3 |
| 平成元年 | 123.1 | 193.3 | 128.4 |
| 2年 | 131.7 | 222.9 | 147.4 |
| 3年 | 137.6 | 246.8 | 158.7 |
| 4年 | 143.5 | 245.6 | 162.4 |
| 5年 | 150.9 | 227.5 | 159.2 |
| 6年 | 156.6 | 212.8 | 148.4 |
| 7年 | 158.3 | 199 | 143.2 |
| 8年 | 161 | 198 | 143.6 |
| 9年 | 160.5 | 201 | 141 |
| 10年 | 158.6 | 203.8 | 138.7 |
| 11年 | 159.3 | 197.9 | 139.4 |
| 12年 | 159 | 182.6 | 132.3 |
| 13年 | 157.2 | 177.8 | 136.4 |
| 14年 | 153.6 | 180.5 | 135 |
| 15年 | 152.7 | 179.5 | 131.4 |
| 16年 | 152.1 | 176.1 | 130.6 |
| 17年 | 151.9 | 171.5 | 132.8 |
| 18年 | 152.9 | 178.6 | 133.7 |
| 19年 | 153.6 | 185.8 | 135.6 |
| 20年 | 156 | 206.1 | 158.3 |
| 21年 | 156.6 | 219 | 169.5 |
| 22年 | 156.5 | 205.9 | 163 |
| 23年 | 156.8 | 197 | 158.9 |
| 24年 | 157.6 | 193.9 | 155.6 |
| 25年 | 159.9 | 203.8 | 164.3 |
| 26年 | 163 | 228 | 176.4 |
| 27年 | 165.4 | 240.2 | 197.3 |
次に、下の表に当てはめて取得価額を算出します。
| 上の表で求めた㎡単価 | ② | |
| その建物の床面積 | ③ | |
| その建物の取得価額 | ④ | (②×③)= |
たとえば平成元年に建てられた、床面積90㎡の木造住宅であれば、次の式のようになります。
123100円 × 90㎡ = 11,079,000円
国税庁の「減価償却費の計算について」というページを参考にして、再調達価格から減価償却費を差し引くことで、今残っている価値=残価を推定します。
減価償却費 = 11,079,000(円) × 0.9 × 0.031 × 31(年)
というわけで、減価償却費は9,582,227円。残っている建物の価値は、1,107,900円から9,582,227円を差し引いた、1,496,773円です。
本来税金の計算のための建物価格の出し方なので、通常は相場の低めの価格(もしくは相場より若干低い価格)になります。人気のあるエリアでは、これより高い価格をつける例が多い点はご注意ください。
| 建物の構造 | 耐用年数 | 償却率 |
|---|---|---|
| 鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 |
| 軽量鉄骨造 | 28年 | 0.036 |
| 木造又は合成樹脂造 | 33年 | 0.031 |
土地建物を合計すると?
ここまでで、土地が約2,200万円、建物が約150万円と推定できました。ということは、合計で2,350万円くらいかな? と考えておけばOKです。
ここまでの過程で注意したい点を挙げるとしたら、複数の情報源にあたること。路線価+不動産情報サイト(今回はathome)+土地総合データベースを参照し、どの情報源で見ても大幅には値段が違わないことがわかりましたので、今回はけっこう手堅い数字になっていると思います。
上記の各サイトで数字が一致しない場合は、自己判断が難しい可能性大。そんなときは信頼できる不動産屋に声をかけてみましょう。
地方の土地を査定するならリビンマッチがおすすめ
その土地の近くに信頼できる不動産業者がある場合は別ですが、そういった情報がない場合、ネットの不動産一括査定を利用することになります。
地方圏で、なおかつ農地や林地に対応していて、何でも査定依頼できるのはリビンマッチ。このサイトであれば、無道路地など条件が悪い土地でも査定依頼できます(注1)。
参考イエイ……10年以上の運営歴があり地方にも強い
ただし、どんな一括査定サイトであっても同じですが、地方圏では対応できる不動産業者が非常に少ないか、もしくは存在しないこともあります。
また、不動産一括査定サイトは便利な反面注意点もあります。以下の記事もあわせて読んでみてください。

注1……そのエリア(市町村)に農地や林地を査定できる業者が登録している場合に限ります。全国的に見ると対応業者が存在しない場所も多い点は注意してください。

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